『グリーンブック』人種を超えた友情~痛み、笑い、そして感動へ
心が痛む、でも最高に笑えて感動する、そんな映画でした!
グリーンブック見てきました。笑えて感動する素晴らしい作品でした!第91回アカデミー賞作品賞受賞作です。アカデミー賞効果なのか、映画館は満員でした。
概要
1960年代初頭、腕っ節が良いイタリア系移民の用心棒(トニー・リップ)と黒人天才ピアニスト(ドクター・シャーリー)による実話を元にしたロードムービー。
人種差別が色濃く残る南部へコンサート行脚するために、用心棒としてシャーリーはリップを雇う。性格も考え方も違う二人はことあるごとに衝突するが、長い旅路を通しお互いを知ることで、徐々に打ち解けていく。
感想
痛み、笑い、そして感動が凝縮された映画でした。
人種差別という思いテーマを扱いながら(痛み)、非常にコミカルな掛け合いをもって(笑い)、徐々にお互いを理解・尊重していき、そしてかけがえのない存在になっていく様(感動)はとても心地よいものでした。
・痛み
グリーンブックとは黒人のための施設利用ガイドブックのことです。
人種差別が特に激しかったアメリカ南部へのコンサート行脚、トラブルを避けるためには必需品であったと思われます。そして用心棒も。。
シャーリーは人種差別に立ち向かおうとし、(小さな抵抗として)PUBなどに夜一人で出歩きます。その度にトラブルに見舞われ(ここは凄惨な描写でした。。)、リップに救われることになります。
その中でも一番印象に残っているのは、対黒人との描写です。行脚中にエンストを起こし、しばし道ばたに立ち止まることになります。その時に肉体労働者として扱われている黒人と相対する場面、シャーリーの悲しみやとまどいに満ちた表情は忘れられません。
その苦しみを表した場面、
「私は白人でもなく、黒人でもなく、人間でもない」と叫ぶシーン、シャーリーの苦しみが凝縮された言葉だと感じました。
黒人だけど裕福、という立ち位置は、結局どの立ち位置にも自分はいられない、そのような苦しみがあるのではと感じました。
・笑い
所々に笑えるシーンが散りばめられています。そもそも皮肉を込めた二人のやり取りがなんとなく笑えてきます!
その中でもケンタッキーのシーンは特に笑えました(映画館が笑いで包まれていました笑)手で食べるなんて衛生的によくない、と拒むシャーリーに強引にすすめ、シャーリーが受け入れると調子に乗って・・・(ここは是非映像でみてください)
久々に映画館で肩ふるわして笑いました笑
・感動
私的には3つの場面が印象に残っています。
①シャーリーの演奏を初めて聞いたリップが、天才だ!と感動する場面(それまで黒人差別的な考えをもっていたリップの表情の変化!)
②コンサート行脚の帰り道、白人警官に呼び止められ、今度は何を言われるのかとびくびくする中、、「メリークリスマス」と声をかけられた場面(それまでに一度いわれのないことで勾留される場面があります)
③シャーリーがリップ家のクリスマスパーティに参加する場面(シャーリーには家族がいません)
とても愛すべき映画なのではないかと思います。少しでも興味をもっていただけたら嬉しいです。
※全然気づかなかったのですが、主演があのロード・オブ・ザ・リングのアラゴルン役の方だったとは。。14キロも増量してこの役に取り組んだみたいです。撮影の終わりには食べることに飽きて、体重が下がってしまいそうで大変だったそうです笑